ステージ用の練習をしよう

楽器をやっていれば、ステージで演奏することもあるでしょう。

自宅やリハーサルスタジオなどで、曲を一生懸命練習しているとは思いますが
ステージに立つならステージ用の練習も必要になります。

曲の練習だけでは不十分です。

言われてみれば当たり前なんだけど、意外と気がつかない人が多いようなので解説します。

なにが違うか

まず、練習・演奏する環境の違いを意識する必要があります。

自宅、スタジオ、ステージでわけて考えてみましょう。

自宅の状態

自宅ではまず、音量の制限がかなりがあります。

よほど恵まれた環境か自宅スタジオでもない限り、
日本に置いてはアンプから爆音を出したり、ドラムを本気で叩くことはできません。

よってほとんどの場合、音量を下げた状態でチマチマした練習になります。

しかし、外部の雑音がないかぎり自分の音は良く聞こえます。

そして、最大の違いはリラックスできる環境にあるということです。

生徒さんもレッスン中によく言います。

「家だともうちょっと上手く弾けるんですが…」

そりゃ、そうです(笑)
なんの気負いもないからね。

おそらくほとんどの人が自宅での演奏が一番いいものになりますが
自宅での演奏は自分の真の実力とは言えません。

誰にも披露しないなら弾いていないのと同じだからです。

「人前で演奏したら」「ステージに立ったら」を想定して
自分の実力はやや控えめに見積りましょう。

自宅の特徴は

  • 大きな音は出せない
  • 自分の音はよく聞こえる(一人で弾く場合)
  • リラックスできる

スタジオの状態

次にスタジオの状態を見ていきます。

スタジオは規模にもよりますが、少なくとも自宅よりは大きな音が出せます。

すごく狭い部屋から広い部屋までさまざまですが、中にはホーンセクションとかも入って10数人規模で演奏ができるデカイ部屋なんかもあります。

自宅やステージとの広さの違いは一概には言えません。
よって自宅との最大の違いは音量です。

スピーカーの向きやミキサー調整して全体のバランスを整えますが
他のパートがいる以上、どうしても一人で弾くときより聞こえにくくなります。

スタジオの特徴は

  • 自宅よりは大きな音が出せる
  • 自宅より大きな空間で練習できる(スタジオの規模による)
  • 自分の音はやや聞こえにくくなる(バンドの形態にもよる)

ステージの状態

ステージといってもその広さはスタジオ同様ピンキリです。
場合によってはスタジオより狭いステージなんかもあります。

小さいステージでバンドが5人編成とかだと、本当に狭く感じます。
隣のメンバーが近すぎて演奏に集中できないくらい(笑)

こういう状況ではパフォーマンスもへったくれもありませんが、
ある程度の広さがあるステージならパフォーマンスの練習も必要になってきます。

音に関しては正直、聞きづらいです。

ステージには必ずモニターといって演者に聞かせるようのスピーカーがあります。
これは自分の音や他のパートの音を返して演奏をしやすくするためです。

ステージ上は大きな音を出します。
さらにそれを観客側に向けてマイクで拾って出力します。

つまり、会場は

自分たちが直接出した音と、それをモニターでステージに返した音と、客席むけに出力した音と、客席からの歓声・話し声などが

渦巻いている状態です。
そんなんでまともに自分の音が聞こえるわけありません。

ステージに立つときは、リハーサルのときにPAさんというスタッフさんがモニターの音を調整してくれます。

演者ができるだけ快適に演奏できるようにしてくれるわけですが、下手なバンド・プレイヤーほどやたらPAさんに注文をつける傾向にあります。

僕は全くと言っていいほどPAさんに注文をつけません。
だってあまり意味がないから(笑)

どんなに念入りにリハーサルをしてPAさんと打ち合わせしたところで、本番が始まれば絶対に音が(音響が)変わります。

お客さんの人数、立ち位置、室内の温度や湿度。
これらが予測不能だからです。

だから僕はPAさんに細かく注文したりしません。

そして音響の変化、つまり耳が感じる変化と同じくらい変わるのが目で感じる変化です。
光の具合。

ステージでは、演出のためにライティングが行われます。

バーっと会場全体を明るくしたり、演者を際立たせるためにスポット当てたり、客席側だけ照らしたり、全体が暗転したり。

演者からすると光が入ってくる向きがめまぐるしくかわるし、暗転すると手元が全く見えなくなることもあります。

コード弾きとかならまだしも、ちょっと小難しいことやろうとしているときに暗転されるとマジでテンパります(笑)

ステージの特徴は

  • 自分の音はかなり聞こえにくい(本番の状況による
  • ライティングによっては手元や足元が見えなくなる
  • 広いと気持ちがいいが、狭いと演奏しにくい

ステージ用の練習とは

ステージは華々しいイメージやカッコいいイメージがありますが

音が聞こえにくい、ライティングによっては手元足元が見えない、という意味では
自宅より劣悪な環境です。

よって、ステージ用の練習とはココをカバーする練習です。

聞こえない場合

まず、自分の音が聞こえにくい場合にどうするか。

自分の音が多少聞こえなくても、他の楽器の音は聞こえるはずです。
本来、バンドというのはお互いが他の楽器の音を聞きながら演奏するものです。

自分の音が聞こえないからといって慌てない、慌てない。

今ベースこんな感じか、とか
ドラムがこうだから次はこうだな、など

拾える情報だけを頼りに、自分が何を弾くのかを考えましょう。

音量バランスに関してはある意味諦めます。

よほどのプロミュージシャンで、何度もリハーサルができたり専属のPAスタッフがいないかぎり
本番のバランスを整えるのは不可能です。(ステージ内の中音に関しては

客席の外音はPAさんを信じましょう(笑)

見えない場合

暗転によって手元・足元が見えない場合にどうするか。

これは簡単です。
普段から手元を見ないで練習するんです。

つい見てしまうという人は、目を閉じる・目隠しをするなどして強制的に視覚情報を遮断します。

といっても曲の最初から最後まで見えなくする必要はありません。

自分の中で苦手だな、難しいな、と感じている箇所をあえて見ないようにし、
負荷をかけて練習するわけです。

普段から負荷をかけて練習していれば、気持ちに余裕ができます。

足元に関しては、予定のタイミングよりも少し早めにペダルのスイッチに足をかけておくとか
最悪、音が変えられなくてもごまかせる技術を身につければ済む話です。

「しまった、音が変わってない」と思うのは演者だけで、お客さんは気がつかないからね。

ライブでのギター持ち替えの必要性」でも書きましたが、音を変えること自体が所詮は自己満です。

お客さんからしたら、音が変わっていないことよりも
音が変わらずに一人でテンパっている演者を見るほうが不快です。

最後に

ステージ用の練習は大事ですが、それでもどうにもならないトラブルはつきものです。

ステージでは、ミスなくトラブルなく完璧にこなすことが大事なのではなく

トラブルをいかに楽しむか、トラブルをその場でどうクリアするか
が大事になってきます。

  • 弦が切れる
  • 音が出なくなる
  • コードやフレーズが頭から完全に飛ぶ
  • 足を踏み外してステージから落ちる
  • メンバーの誰かが曲順を間違える

様々なトラブルを経験してレベルアップしていきましょう。

曲順を間違えるのだけは、あとでメンバーとモメるけどね(笑)

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