譜面が読めない
譜面どおりに弾く
なんていいます。
音符や休符がなにやら難しく見えるし、書き方のルールもあるし。
譜面が読めない人からすると
サラサラと譜面を書いたり読んだりできる人が、かっこよく見えたりするみたいです。
なんか高尚なものと思われているというか
音楽における「譜面」っていう立ち位置がけっこう高いような気がするんですが
譜面はただの記号ですよ。
音楽やっている人間からすると、というかある程度のレベルに達すると
譜面はそこまで重要でないことが理解できます。
逆に言うと、譜面がすごく大事だと思っている人は
たいしたミュージシャンではありません。
詳しくみていきます。
譜面とは
譜面とはなんでしょうか。
ある曲を再現できるように、構成などを書き記したものです。
一般的なものは五線譜でしょう。
ピアノ、ギター、バイオリンなど。
音程楽器であればほとんどこれで表すことができます。
ドラムは音程楽器ではありませんが、やはり五線譜で記されます。
日本も含め、民謡系だったり民族色が強い楽曲は、五線譜とは違った独自の譜面があったりします。
西洋音楽の五線譜に慣れていると、これらの譜面は全く読めません(笑)
読めないということは、どういうことか。
ルールがあるということです。
ルールを知らないと、情報として全く役にたちません。
どんな譜面にも、その譜面なりのルールがあります。
ちなみに、世界中の伝統音楽(日本では津軽三味線など)では
譜面そのものがなく、「口伝」で伝承され続けてきたものもたくさんあります。
口伝だよ?
聞いて全てを覚えろって?
恐るべし。
譜面はルール
譜面はルールです。
つまり、この音符はこれくらいの長さ、この休符はこれくらいの長さ、小節内の拍数・拍子、テンポなどです。
前述したように、ある人が、または複数人がその曲を再現できるように記載したものであり、最低限の情報というか
骨格のようなものしかありません。
音の長さの情報はあっても、音の強さの情報はありません。
どういう指の順番で弾くかという運指の情報はあっても
どの指をどれくらい曲げてどれくらいの速度で動かすかの情報はありません。
厳密に言うと、クラシックなどではテンポを変化させる情報や音の強弱の情報が記載してありますが(accelerandoやfortissimoなど)
具体的にどれくらいゆっくりなのか、どれくらいの音量なのか。
BPMやdBなど、数値的なところでは書いていませんよね。
譜面に書いてあるのはあくまで“最低限の情報”
それをどう解釈して、具体的にどう弾くかは
プレイヤーに委ねられているということです。
譜面は台本
ドラマや舞台、アテレコなどでは
演者やスタッフなど関わる人全てに「台本」が配られます。
台本は「情報」であり「共通認識」です。
みんなが同じ方向に進めるように。
譜面はこの「台本」と同じなんです。
一人で演奏するにしても、複数で演奏するにしても
「この曲はこんな感じですよー」っていうのを示しています。
台本には物語の流れと登場人物のセリフが書いてあります。
しかし、
「どういう声色で」
「どういう表情で」
「どういう動きで」
「どういう間で」
演じるかは演者の解釈とセンスによります。
譜面も同様に
「どういうトーンで」
「どういう音量で」
「どういうテンポで」
「どういう間で」
弾くかはプレイヤーの解釈とセンスによるわけです。
譜面の通りに弾くことが正しいと思っている人が多いですが、
譜面の通りに弾くなら、つまり譜面に書いてある情報だけを拾って演奏するなら
台本に書いてあるセリフを棒読みするのと同じです。
セリフを棒読みするだけの演技では観客は感動させられません。
俗に言う、ダイコンです。
譜面をなぞるだけの演奏をしても、やはりリスナーは感動させられないでしょう。
譜面は無視
“棒読み演奏”をしないためには、どうすればいいか。
究極は、譜面を無視です。
といっても構成を無視してはいけません。
他の楽器とのアンサンブルが成立しないからです。
一人で演奏するならそれもアリだけど。
コードも所詮は解釈なので、割と無視でもOKです。
「コードは解釈」の記事も参考に。
ただし、他の楽器が出した音とアタる(不協和音になる)なら
その音は避けたほうが無難でしょう。
僕も小さいころ、鍵盤で譜面重視の音楽から入ったので
なかなかこの「譜面は重要でない」という感覚が掴めませんでした。
譜面どおりに弾けばOK
テンポどおりに弾けばOK
こう思っていた時期が長かったですが
これだと生きた音楽にはならないし、なにより没個性になってしまいます。
20代の頃
「つまらん演奏をするな、ナメてんのか」
とプロの先輩から胸ぐらを掴まれ
居酒屋の外に叩き出されて説教されて(パワハラ笑)
目から鱗、というかようやく間違いに気がついたものです。
譜面は解釈、必要な情報だけを選択する
テンポも自由(ただし一人なら)
これを実践するだけで生きた演奏になるし、個性的なプレイヤーになれます。
いまいちパッとしない
抜きん出た演奏ができない
というなら一度、譜面との向き合い方を考えてみましょう。
ただし、個性的なプレイヤーになったからといって
食えるかどうかは別の話だよ(笑)
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