ギターの奏法:アルペジオ 〜センスが問われるので要注意〜

Arpeggio(アルペッジォ)!
Ortaggio(オルタッジォ)!
Robert Baggio(ロベルト・バッジォ)!

というわけで、今回はイタリア語のお勉強
ではなく、アルペジオの解説です。

ロベルト・バッジォを知っているあたりで年がバレるな・・
ちなみに僕はバスケ部でした(笑)

コード弾きしかできない、とお悩みの人は多いでしょう。

コードにプラスにしてアルペジオが弾けると
表現の幅が広がりレベルアップがのぞめます。

少なくとも、それまでよりは“ギターを弾けている風”になれます。

アルペジオはギター初心者から脱却する鍵なんです。

そしてギターにおいては
チョーキングに次ぐくらい、プレイヤーのセンスが問われます。

ではいってみましょう。

アルペジオとは

アルペジオは和音(コード)を構成する音を一つずつ弾く奏法のことで

分散和音(の一つ)とも言われます。

逆に、コード弾きは同時和音と言われます。

厳密には、低い方の音または高い方の音から
順番に弾くものとされています。(つまり一方向

例えばこんな感じ。

アルペジオの一方向の弾き方

ギターの場合、とくに順番の縛りはなく
とにかく一つずつ構成音を弾くものを、全てアルペジオと呼んでいます。

例えばこんな感じ。
一方向でなくてもOK。

アルペジオのランダムな弾き方

一つずつの余韻が残っていくため、コード弾きで「ジャーン」と弾いたときとは
一味違った奥深さが演出できるのが特徴です。

ちなみにアルペジオは
イタリア語でハープ(arpe)を弾くという意味からきています。

アルペジオの弾き方

アルペジオの弾き方を見ていきましょう。

一般的なコードフォームや、自分で考えたヴォイシングでコードを押さえて
任意の弦を、任意のタイミングで鳴らしていきます。

弾きたいように弾け、ということだね(笑)

とにかく音を一つずつ鳴らせばいいわけです。

コード弾きの感覚で弾くのなら
低音弦から高音弦に向かって、順番に弾きましょう。

これでも充分アルペジオです。

が、上級者はこういう弾き方はほぼしません。
これについては後述します。

右手は、慣れないうちはダウンピッキングのみでOKです。

複雑だったりテンポが速かったり、と

ある程度難易度が上がってくるアルペジオは
ダウンのみで弾けなくなっていきます。

少しずつアップも織り交ぜていきましょう。

最終的に
自分の思いどおりのダウンアップで弾けるようになることが理想です。

アルペジオの注意点

アルペジオとコード弾きとの決定的な違い、

それは誤魔化しがきかないということ。

コードは複数の音を一気に鳴らすのでどれか一つ鳴っていなかったとしても
それなりに誤魔化せます。

聞く人が聞けばバレるけど。

アルペジオは音を一つずつ鳴らすので

左手が綺麗に押さえられていなくてもダメだし
右手のピッキングにも正確さが求められます。

コード弾きができている(つもりの)人が、アルペジオに挑戦すると
だいたい絶望するんですよ(笑)

あまりの下手さに
「こんなに自分は弾けていないのか・・」と思うわけです。

でも、それは上達するチャンスです。

左手の注意点

左手は、指を起こすこと。

一つずつ音を綺麗に鳴らすということは
弾く必要のある弦に、他の指が触れてはいけないということです。

例えばオープンコードのCなら

Cコードのダイアグラム

5弦に置いている薬指が、4弦に触れたらNG
4弦に置いている中指が、3弦に触れたらNG
2弦に置いている人差し指は、3弦にも1弦にも触れたらNG(両方とも開放弦)

となります。

しかし、中指が4弦に触れるのはOKです。

原理的に、ギターは高音側のフレットが優先されて鳴るから。

3Fを押さえているときに、2Fを押さえても音は変わりませんよね?

中指からすると、4弦に触れたとしても
それは薬指より低音側になるので問題ないわけです。

右手の注意点

右手は細かいコントロールが必要になります。

当たり前ですが、コードのときのように「ジャン」と大振り一発で弾くというわけにいきません。

弾きたい弦を、正確に一定のリズムで弾きます。

まずは、弾く全ての弦を同じくらいの音量でしっかり鳴らすように注意しましょう。

慣れないうちは、コントロールに気を取られてアタックが弱くなり
音量がバラバラになったりします。

表現としては抑揚をつけて、つまり音量差をつけることが望ましいんですが

余裕がなくて音量がバラバラになるのと
狙って音量差を出すのとでは意味が違います。

ひとまず同じくらいの音量になるよう注意しましょう。
慣れてきてから音量差をつけるようにすればOKです。

アルペジオの有利な点

コード弾きに比べてアルペジオは誤魔化しがきかないと解説しましたが、

唯一、コード弾きより有利というか
楽なポイントがあります。

それは指の配置タイミングです。

コードは一気に鳴らすので最初の一発目で指を全て配置しておく必要があります。

アルペジオは一つずつ鳴らすので、鳴らす順に指を配置できるんです。

コード弾きとアルペジオ弾きのタイミングの違い

これにより僅かに指を配置するタイムラグを生じさせることができます。
もちろん可能なら同時に配置してOKです。

フレーズにもよりますが、必ずしも同時に配置する必要はないんだよということ。

これがわかっているだけでも心理的な余裕ができるでしょう。

アルペジオの具体例

アルペジオの弾き方は多彩です。

一つのコードでもたくさんの表現ができ
その弾き方によって、印象がガラっと変わります。

弾き方のパターンを見ていきます。

一方向

初っ端に練習するのは
低音弦から高音弦に向かって一方向に弾くことが多いでしょう。

ダウン方向です。

アルペジオ一方向の具体例

高音弦から低音弦にむかう、アップ方向でもOK。

勢いあまってダーッと弾いてしまわないように気をつけましょう。

前述しましたが、上級者はあまりこの弾き方はしません。

なぜなら、単調になりやすいからです。

“単調さ”を出すために表現として
こういう弾き方をするのはもちろんアリです。

ただし、その際も
強弱ニュアンスコードヴォイシング(コード構成音の並べ方)などは工夫します。

行って戻る

一方向に慣れたら
行って帰ってくるのもいいでしょう。

アルペジオ行って戻るの具体例

全てダウンで弾くよりも
帰りはアップで弾く方がやりやすいです。

というか、後々のことを考えるとそうした方がいいです。

行きはダウン→帰りはアップ
だけでなく、オルタネイトピッキングでもOKです。

行ったり来たり

完全にダウンを行ききってからアップに切り返すのではなく
途中で切り返しを入れていくパターン。

この辺からアルペジオらしくなってきます。
より実践的だということです。

アルペジオ行ったり来たりの具体例

一方向でなくなるので
よりダウン・アップを自分の中で明確にしていないと

ピッキングがゴチャゴチャになり安定して弾けなくなります。

左手も動く

さらに、発展させていきましょう。

右手だけでなく左手も動くパターンです。

コードチェンジで動くという意味ではなく
同一コードの中で音を変化させるものですね。

アルペジオ左手も動くの具体例

厳密に言えば
構成音でない音に変化させた瞬間に、コードネームは変わってしまうんですが

いちいちコードチェンジという捉え方はしません。

例えばこれだと
最初の2弦3Fを弾いた瞬間は「Cadd9」になりますが、すぐに2弦1Fの音(元の構成音)に戻るので
全体としては、あくまで「C」と捉えます。

この辺の理解は、経験だったりスケールや度数の知識が必要です。
度数について
コードとスケールの関係性がなぜわかりにくいか

指弾き

これはパターンというより右手を何で弾くか、の違いです。
ピックじゃなくで弾くだけ。

もちろん、右手の指の練習が必要になります。

それぞれをバラバラに動かすだけでも難しいですが、

特定の指だけ強い・弱いなど、音量バランスが崩れがちなので
整えるのが大変です。

普段ピック弾きの人が、なんとなく見様見真似で指弾きしていることもありますが、

クラシックギターやピアノをやっている人は各指のバランスにとてもシビアなので
「音量バランス考えろよ!」となります(笑)

合わせ技

一方向、行ったり来たり、左手の動き、指弾き、と
全ての合わせ技です。

もちろんピックだけで弾いてもいいし、ハイブリッドピッキング(ピック&指弾き)でもいいです。

アルペジオ合わせ技の具体例

こういう弾き方が安定してできるようになれば
上級者とみなされるでしょう。

最後に

アルペジオはコードの分解です。

何か一つコードを押さえて、一音ずつ鳴らせばアルペジオとして成立します。

まずはここからスタートしましょう。

しかし
かっこいいアルペジオ
印象的なアルペジオ

となると話は違います。

リズム抑揚ニュアンスヴォイシング、と
考えることが沢山あるからね(笑)

アルペジオにより磨きをかけたい方は
お問い合わせください★

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