ベース関連の記事が少なくてごめんなさい(笑)
というわけでベーシストの紹介といきましょう。
世界最高峰のベーシストの一人、Marcus Miller(マーカス・ミラー)です。
Fender社Jazz Bassと、ハットが(?)トレードマーク。
タッピング奏法やスラップ奏法などを駆使し、独自のスタイルを確立していった凄腕ベーシストです。
来歴
1959年、ニューヨーク州ブルックリンに誕生。
教会の鍵盤奏者だった父親の影響を受け、幼いころから音楽に触れ、クラリネットやサックスなどの木管楽器を経たあと、13歳のときにベースを手にします。
同じくベーシストのLouis Johnson(ルイス・ジョンソン)の影響を受け、早々にスラップ奏法の練習を始めたんだとか。
そして15歳のころには地元ニューヨークでサポートベーシストとしての仕事をスタートさせています。早い・・・
僕が15歳のころなんて、まだバンドスコア見ながらちまちま弾いていた時代ですよ(笑)
その後、ドラマーのLenny White(レニー・ホワイト)や、女性フルート奏者のBobbi Humphrey(ボビー・ハンフリー)らのアルバムに参加するなど着々と経験を重ね、1979年にはプロとして独立。
1981年から一年ほど、モダンジャズの帝王・Miles Davis(マイルス・デイビス)のバンドに在籍しています。
そして1983年には初のリーダー作「Suddenly」をリリース。
ここからかなりのハイペースでアルバムリリースを続ける傍ら、サックス奏者のDavid Sanborn(デイビット・サンボーン)の作品プロデュースなども手掛けます。
名だたるミュージシャン達との共演・精力的な活動を続け、2001年にはグラミー賞も獲得。
現在に至るまで、リーダー作だけで見ても15枚以上のアルバムをリリース。
その他ユニットやプロデュース業も含めると、とんでもない活躍ぶりです。
使用機材
先にも書いたように、何と言ってもFender社Jazz Bassでしょう。
1977年製がメインなようで。
この個体はアクティブ回路(Bartolini社製TCT)搭載に改造されているようですが、このアクティブの音も含めてマーカスらしさではないでしょうか。
ただし、ごく初期のころはどうやら違います。音を聞いてもアクティブっぽさはまだ無いですね。
すでに「マーカス節」は出ていますが。
1979年ごろからアクティブになっているようですが、はっきりとした時期はわかりません(笑)
また、スラップ奏法を安定させるためにピックアップフェンスが取り付けられています。
人によっては逆にスラップがやりづらいという人もいるでしょう。
ピックアップフェンスとは↓ボディ真ん中あたりの金属のプレートです。
Fender社製以外にも多数のベースを所有しているようですが、最近のツアーでは77年製に加えてFender75年、Fenderフレットレス、Fender5弦ベース、とFender大好き(笑)
アンプはSWR社製やEBS社製を使っています。
2018年にはMark Bass社からMarcus Millerモデルのアンプを発売しています。
SWRのアンプはハイファイサウンドの傾向ですが、そこにTCT搭載のベースを繋いで
いわゆる“ドンシャリ”な設定にしているようです。
TCTとはBARTOLINI社の製品で高域〜低域の調整ができるイコライザーです。
クリアで太くて。まさにマーカスサウンド。
エフェクターも多数使用していますねー。
オーバードライブ、ファズ、コンプレッサー、オクターバー、コーラス、リバーブ、ワウ、、、と好みが分かれそうなところです。
ベーシストならエフェクターは使うな!という硬派がいますからね(笑)
IbanezやMXRなど様々なメーカーのものを使用していますが、偶然なのか狙いがあるのか、EBS社製のものが多いみたいです。
数を多く使用するわりにはラインセレクターなどのシステムは使わず、全部直列繋ぎなようで。(僕の知るかぎりでは)
それであんなカッコイイ音が出るんだからなぁ。
あ、エフェクターはね、直列繋ぎと言って全部順番に繋いでいくと音がショボくなりやすいんですよ。電気的な理由で。
もちろん回避する方法はあるんだけど、組み合わせとか相性を考慮しなきゃいけないので
対策を練るのが大変だったりします。
特徴・スタイル
何と言っても彼の特徴はスラップ奏法ではないでしょうか。
スラップ奏法のサムピングは大きく分けて、弦を弾いたあと(この場合4弦)
●元の位置にすぐ戻る「跳ね上げタイプ」と、
●弾いたあとそのまま下の弦(この場合、3弦)に着地する「振りぬきタイプ」とあるんですが。
どちらかというとマーカスは跳ね上げタイプです。
それでいてモーションが小さいというか。コンパクトに動かしています。
プルのほうも、やっているのかどうかわからないくらいにコンパクトな動きです。
ルイス・ジョンソンなんて大振りしすぎで逆に何やってるかわからんけど(笑)
まぁ、脱力の良い例ですよね。
楽器の演奏に力はそれほどいりません。
脱力してアタックのスピードさえ稼げれば音量は充分に出ます。
これはギターもベースもドラムも同じです。
では脱力するにはどうするか?
レッスンではお伝えしています。
マーカスは親指に少し力が入っているように感じるけど
反りやすいだけかな?
同じくベーシストのVictor Wooten(ヴィクター・ウッテン)やStanley Clarke(スタンリー・クラーク)なんかもわりと柔らかい弾き方です。
スラップに含まれる要素ですが、
32分音符などの細かい音符がたくさん出てくるスタイルはマーカスが広めたと言ってもいいのではないでしょうか。
32分を弾くためには
親指をピックのようにダウンアップさせたり、プルを多用したり、ハンマリング&プリングを多用したり、と方法はいくつもありますが。
細かくて難しいことを平然とやってのけますよねー。
それからオーソドックスな指弾きをするときには、ネック寄りのポジション(というか完全に指板上だったりもする)を弾くことも多いです。
ピックアップフェンスが邪魔なんだろうか(笑)
その他、タッピングも素晴らしく、テクニカルなベーシストと思われがちですが
歌ものも素晴らしいです。
邪魔をせず、歌を聴かせるベース。
スライドやチョーキングも駆使して、“表現する”ということへのこだわりが感じられます。
ベースでチョーキングって大変だからね(笑)
タイム感は限りなくジャストから、やや前めが得意なようで。
スラップのアタック感と相まって、彼の演奏のノリの良さや軽快さを出していますね。
ギターやドラム、鍵盤の腕前も素晴らしいらしく
仲間うちからは「何でも屋」と言われるマルチプレイヤーです。
僕と同じですよ。レベルが違うけど(笑)
まとめ
テクニカルな面が目を引きますが、基本の技術と確かな歌心とがあるベーシストです。
ベースというリズムを支える楽器ながら、メロディ弾きをしてもしっかりと聴かせることができます。素晴らしい。
見せるベーシスト、そして魅せるベーシスト。
最後にマーカスの魅力がよくわかる動画を貼っておきます。
1本目はマーカスの「Detroit」
2本目はThe Jackson 5の「I’ll Be There」とThe Beatlesの「Come Together」のカバー。
手元のクローズアップも多いので興味のある人はじっくり研究してみてください★
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