どこの世界にも「天才キッズ」と呼ばれる子たちがいます。
天才少年ギタリスト
天才スケーター少女
他にも
絵の才能があったり、将棋が強かったり。
子供の頃から活躍していると
大人になったときにさぞかし凄い人物になるんだろうと周りは期待しますが、
天才キッズは、あまり大成しません。
とくに楽器の天才キッズたちはその傾向が顕著だと思われます。
なぜ楽器の天才キッズは大成しない傾向にあるのか?
それは、早いうちから大人に混ざって活動し始めるからです。
誰と比較するのか?
そもそも天才キッズとはどういう子たちなのか。
同年代の子供の中では、ある能力が突出している
ということです。
“子供の中では”、というのがミソですね。
ギターがうまい小学生は
「小学生のわりにはギターがうまい」子です。
スケボーがうまい中学生は
「中学生にしてはスケボーのテクニック凄いじゃん」って子です。
世間は彼らを褒めそやしますが
「うわー!すごい上手だね!(大人に比べるとまだまだだけどね)」
という、カッコ部分の暗黙の了解があります(笑)
制限がないから
スポーツや囲碁・将棋など、何かを競うものにはだいたい大会があります。
そして、その大会には年齢制限があったりします。
「何歳以上じゃないと出場できない」とか
「何歳以下じゃないと出場できない」などです。
つまり制限がかかるわけです。
よって、どんな天才キッズでも大会とかに出る以上は
ある程度同世代の人たちと競うことになります。
もちろん年齢制限のない大会なんかもあるでしょうが、それに出場したら大人の天才たちにコテンパンに打ちのめされます。
ある程度の年齢の枠の中で同世代と切磋琢磨しながら
たまに大人からコテンパンにされつつ、
経験をつんで、徐々に自身が大人になっていくわけです。
ところが、ミュージシャンは何も競うわけではないので年齢の制限がありません。
天才キッズミュージシャンたちは注目されるや否や
いきなり大人のプロミュージシャンたちに混ざって、ライブやレコーディングなどの活動をしていきます。
ここに大きな落とし穴があるわけですよ。
10代後半から二十歳そこそこのプロ目指してますみたいな若手ミュージシャンが
プロの現場に行こうものなら、
それはそれはヒドイ目にあうからね(笑)
ぐうの音も出ないほど、貶され、怒られ。
圧倒的な実力差を目の当たりにして、心が折れるどころか粉砕されます。
そうやってミュージシャンとして成長していくんですが、天才キッズたちはそんな目にあいません。
だって子供だから。
周りは誰も貶さないし、本気で怒ったりしません。
つまり「ぬるま湯」に浸っている状態です。
そのまま大人になっていったとしたら・・・凄いミュージシャンになりますか?
ならんでしょ。
プロが見てもすごい子は?
中には大人のプロが見ても凄い子はいるでしょう。
現時点でかなり完成されているような子は稀にいます。
人間は「今まであったことは同じように継続する」と考えてしまうそうです。
例えば世界人口の話。
昔に比べると遥かに人間は増えています。
過去の人口をグラフにすると、ずーっと右肩上がりで増えてきています。
そして、これから先も「同じようなペースで人口が伸び続ける」と考えてしまうそうです。
もちろんそうなるとは限りません。
現に世界人口は、今世紀中に減少に転じることが予測されています。
これと同じで、天才キッズが10歳だとして
「この子は10歳でこの実力なら20歳、30歳になる頃にはもっと凄いことになるだろう」と
勝手に予測してしまうんですよ、周りの大人は。
現時点で「大人と比較しても凄い子供」であっても、
大人になるまでその状態を維持したり
更なる成長を遂げるとは限りません。
「このまま成長していけば」
という無意識の期待通りにはならないんです。
また、音楽って最終的に「表現すること」なので
どうしても子供のうちはここがネックになります。
表現力は、様々な人生経験を経てついてくるものだからです。
言葉ではなかなか説明できないんですが、数年〜数十年の人生経験の差は必ず音に表れます。
最後に
天才キッズたちを否定するつもりはありません。
もったいないと思っているんです。
せっかく若いうちからそれだけの技術とセンスを持っているのに、
大人になるにつれて凡百のプレイヤーに成り下がっていくことが
非常に残念で見ていられません。
僕ごときが僭越ですが
若い世代が育っていくことって絶対必要だし、嬉しいんですよ。
センスのあるプレイヤーたちが沢山でてきてほしい。
だから天才キッズたちに一言。
「絶対に油断せず、様々な経験をしながら腕を磨き続けてください。」
継続が大事だよ!(笑)
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