「魅惑の○○」と銘打って、様々なミュージシャンを紹介していこうかと思います。
ギタリストが多くなることが予想されますが。
というわけで、今回は僕の好きなギタリストの紹介です。
まずは Jeff Beck(ジェフ・ベック)。
言わずと知れた「世界三大ギタリスト」の一人ですね。昔の。
今は「新・世界三大ギタリスト」もいますからね。
あと20年くらいしたら、新三大は何三大になるんだろう。
この人はとにかくブッチギリで独創的です。
独走だし、独奏です。
変態です。(褒め言葉)
フィンガーピックングを主体とし、アーミングやタッピング、その他いろいろなテクニックを駆使するスタイルで
一聴して彼の音だとわかる、まさに唯一無二の存在です。
Free(フリー)、Bad Company(バッド・カンパニー)、Queen(クイーン)など
名だたるロックバンドでボーカルを務めたPaul Rodgers(ポール・ロジャース)をして
「ロックギタリストは2種類いる。Jeff Beckとそれ以外だ。」
と言わしめるほどです。
来歴
1944年、イギリスはロンドンに生まれます。
幼いころから母親によってピアノのレッスンを受け、12歳ごろには友人からガットギターを譲ってもらい、ギターにのめりこみます。
ちなみに、このギターには弦が3本しか張っていなかったんだとか。
そして、無事に? 母親からGuyatone(グヤトーン)のギターを買い与えられます。
Guyatoneは当時日本のメーカーのブランドでした。
16歳ごろから学校の友人らとバンドを組み、地元のクラブなどへ出演を果たします。
バンド活動と並行してセッションギタリストとしても活動し、腕を磨いていきます。
この頃、姉の紹介でJimmy Page(ジミー・ペイジ)と知り合い、意気投合しているんですよね。
すげー(笑)
そして1965年、ジミーに紹介される形で、Eric Clapton(エリック・クラプトン)の後任ギタリストとしてThe Yard Birds(ヤード・バーズ)に参加。
はい、ここで三大ギタリストが出そろいました!
1967年にThe Jeff Beck Group(ジェフ・ベック・グループ)を結成。
69年までの第一期と70~72年までの第二期とに分かれますが、
Rod Stewart(ロッド・スチュワート)やRon Wood(ロン・ウッド)、Cozy Powell(コージー・パウエル)など錚々たるメンバーが在籍していた凄いバンドです。
この頃はまだピックで弾いていますが、すでにアームやボトルネックなどを使い
“普通に音を出す”ことから逸脱しようと、思考錯誤しているように思われます。
フレーズもまだオーソドックスなブルース系のフレーズが多いですが、すでにベック節は匂わせていますね。
↓映像は第二期の頃のものです。
Jeff Beck Groupは空中分解のような形で活動を終え、
1972年にはTim Bogert(ティム・ボガート)、Carmine Appice(カーマイン・アピス)らとBeck,Bogert&Appice(ベック・ボガート&アピス)を結成します。
1974年まで活動し、当時は「最強のロックトリオ」と呼ばれていたんだとか。
このバンドも空中分解というか自然消滅します。
1975年からはソロという形になり
アルバム「Blow By Blow」を発表。
翌1976年に「Wired」を発表します。
個人的には、この2枚は外せないアルバムです。
Jeff Beckという人がよくわかるアルバムだと思います。
その後も、3年から5年に一回くらいのペースでアルバムをリリースし
ワールドツアーも精力的にこなしています。
機材・演奏スタイル
ギターは、Fenderエスクワイア、テレキャスター、Gibsonレスポールと様々使いこなしますが
やはりストラトキャスターでしょう。
ヴィンテージとは無縁の現代使用ギターです。
Sperzelロックペグ、ローラーナットなど
チョーキングやアーミングをスムーズにし、なおかつチューニングの安定性も向上させるという、まさにベックのスタイルには欠かせない使用です。
アンプはVOXのAC-30やMarshallがメインですかね。
Fenderも時々使っているけど、あんまりイメージないなぁ。
最近はMarshallとあわせて、MAGNATONEも使っています。
ロゴのパネルがMAGNATONEから「BECKTONE」に変更されています(笑)
アンプのセッティングは個体や曲により当然かわりますが、どのアンプを使ったとしてもBASSだけは全カットなんだとか。わかるなぁ。
別にジェフに影響されたわけではないですが、僕もアンプのBASSはほとんど上げません。
ギターの音作りとは、ギター単体の音作りではないからです。
バンド全体のことを考えての音作りが重要。
バンドのことを考えながら音作りをすると、必然的にある程度BASSをカットする方向性へむかいます。
なぜなら・・・まずは自分で考えてみましょう(笑)
もちろんレッスンでは教えています。
この人はとにかく右手が忙しいんですよ。
ジッとしていない。
アームやノブをひっきりなしに触っています。
フィンガーピッキングでなおかつアーミングを細かく入れてくるので独特のサウンドです。
「弾くとすぐに飽きる」と言って、同じフレーズを二度と弾きません。
同じようなフレーズでも、ベンドしたり強弱を変えたりトリルを混ぜたり、と
これでもかというくらいに持ちネタの引き出しを開けまくります。
フレーズのバリエーションというか、表現方法としての勉強になりますよね。
できるかできないかは別問題だけど。
僕は、ジェフが参加していると知らずに聞いたアルバム曲のソロが「ジェフみたいだなー」と思って
調べてみるとジェフだった、という経験がありまして。
流石だなー、と。
つまりそういうことなんですよ。
一聴して、“その人”だとわかること。これがJeff Beckというギタリストの凄さです。
ミュージシャンとしての極みです。
大山のぶ代さんとかね。どこからどう聞いてもドラえもんでしょ。
若い人たちは知らないか(笑)
ジェフは長らく映像作品が出なかったんですよ、公式には。
本人は凄くナーバスな人らしく、自分の奏法が映像として世に出るのを嫌ったから、って噂がありますが。
だからこの人のライブDVDが出たときには即買いしました!
10代の頃に観にいったことがあるんですけど、小僧だった僕にはジェフのやっていることが全くわからなかったんです。
でもね、DVDが出たでしょ?
これで研究できるわけです。
そして、わかりましたよ。
どう弾いているかが。
でも、弾き方がわかったからといって弾けるわけではないということもわかりました(笑)
まとめ
Jeff Beckはギターのポテンシャルを限りなく引き出したギタリストです。
間違いなく。
そして誰も追いつけません。
鳥のさえずりとかもギターで出しちゃいますから、この人は。
おススメが沢山ありすぎて絞りきれないんですが。
「Led Boots」と「Cause We’ve Ended As Lovers」 (邦題は「哀しみの恋人達」)
を紹介します。
ちなみにこの「Cause~」はStevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)による作詞作曲です。
ちなみにちなみに。
ドラマーは「魅惑のドラマー ~Dave Weckl編~」の記事でも出てきたVinnie Colaiuta(ヴィニー・カリウタ)です。
追記
Jeff Beck氏は23年1月10日に逝去されました。
どうか安らかに。
(Jeff Beckよ 永遠なれ)
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