芸術には神が宿るとか言われたりしますね。
音楽も例外ではないでしょう。
僕は完全無宗教で無神論者ですが、
ロックの神様はいると思っています。
ロック小僧だった僕にとって、の神様です。
その神様は
赤い髪をした「アカガミ様」です。
生い立ち
神様は
1964年、神奈川県横須賀市に生まれます。
子供の頃は内気でおとなしい性格。
しかも、太っていたらしいですが
「ロックミュージシャンは痩せていないと!」という決意のもと
ダイエットに成功。
高校生の頃、「SABER TIGER」というバンドを結成。
奇抜なファッション、ド派手なメイク。
攻撃的なサウンド。
徐々に人気を博し
「SABER TIGER」→「SAVER TIGER」→「横須賀SAVER TIGER」
と名を変え活動を続けます。
やがてバンドは解散し、ミュージシャンの道をあきらめ
美容師を志していましたが、
とあるバンドを率いていたリーダーに誘われ
もう一度、音楽をやってみようと決意。
そして1989年
念願のメジャーデビュー。
このバンド、X(のちにX JAPAN)は物凄い勢いで成長し
世界進出も果たします。
ソロデビューも果たし
バンド活動と並行して精力的に活動。
革新的な音楽性
斬新なファッションセンス
そして人柄の魅力も手伝って、
10〜20代の若者を中心に、絶大な人気を得ます。
1997年にバンドは解散し(のちに再結成)
ソロ活動に専念することになりますが
翌1998年
人気絶頂の中、急逝。
33歳の若さで神様になりました。
センスのかたまり
どこをどう切りとってもセンスの塊のような人でした。
なぜかというと、当時の映像を今見ても
古くささを感じないからです。
これは僕だけの感覚ではないはず。
多くの人がそう感じていることでしょう。
つまり20数年も前から
現代でも通用するセンスがあったということ。
まさに未来に生きていたような人です。
時代を先取りしすぎて
早々と、次の世界へロケットダイブしちゃったんですね。
長い髪やメイクなど、中性的な出立ち。
速く、荒々しく、攻撃的なサウンド。
いわゆるビジュアル系の基盤を作ったような人です。
(それ以前にもメイクをする人たちはいましたが)
これ以降のビジュアル系バンドマンたちの中で
この人の影響を受けていない人はいないんじゃないだろうか。
直に接した近しい人たちはもちろん
面識がなくても、リアルタイムで見ていた若いバンドマンたちにかなりの影響力がありました。
まさにカリスマです。
ひととなり
見た目の派手さや、攻撃的なサウンドとは裏腹に
人一倍繊細で優しい人だったようです。
有名なエピソードですが、難病をかかえる若い女性との交流なども知られています。
多忙なスケジュールの合間をぬって病院にかけつけたり
ライブや楽屋に招待しては「俺のダチの◯◯子」と周りに紹介したり。
また、アマチュアの頃はバンドのメンバー交代の度に
辞めていくメンバーに申し訳ない気持ちで、隠れて泣いていたんだとか。
インディーズの頃から演出にこだわっていた部分もあり、
「人を楽しませること」が好きだったんですね。
ソロデビューをきっかけにボーカルにも挑戦することとなり
「こんなんじゃ人様からお金は貰えねぇ!」
と、ボーカルレッスンを受け、自信が納得いくまで歌いこんだことも。
オシャレでPOPで派手で
真面目で繊細で優しくて
無類の酒好き。
お会いしたことは無いですが
人柄が、生き様の随所にあらわれていました。
最後に
その繊細さゆえか、周りとの衝突(音楽的な意味で)の度に
苦悩があったようで。
元々が大酒飲みなのに
晩年は酒量が増えていたとか。
神様の最期は
色々と噂されていますが
ここでは触れないようにします。
結局、誰にも真相はわからないだろうからね。
10代の僕に
生き様も散り様も衝撃を与えた人でした。
部活から帰って、テーブルの上に
「神様が亡くなりました」と母からのメモ紙が置いてあったことも衝撃でした。
「また春に会いましょう」と言ったっきり
会えなくなっちゃった。
神様がくれた素敵な言葉を紹介します。
「何にもないってこと。そりゃあ何でもありってこと」(1:32〜)
これほど強烈な言葉ってあるでしょうか。
少年だった僕は
いつのまにか神様の年齢を超えてしまったけど、
この言葉を糧に、今日も生きています★
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