シングルコイルとハムバッキングの違い

エレキギターとエレキベースにはピックアップという
弦の振動を拾うマイクがついています。

こういうやつです。

ピックアップ

このピックアップにも色々な種類がありまして、一番大きく分けると
シングルコイルハムバッキング(通称ハム、ハムバッカーなど)があります。
画像はシングルコイルです。

この2つの違いがわかっていない人もいるでしょう。

シングルコイル/ハムバッキングはの違いは

  • 見た目
  • 周波数特性
  • 出力(音量)
  • ノイズの乗りやすさ

などがあります。

そしてハムバッキングについての勘違いが非常に多いです。

詳しく見ていきましょう。

ピックアップとは

ピックアップ。
つまり“拾う”ということ。

弦の振動を拾って電気信号に変え、ケーブルを通してアンプから出力。
これがエレキギター/ベースの音の流れです。

もちろん弦自体を振動させれば音は鳴りますが
この「生音」だけでは迫力ある音にはなりません。

ピックアップというマイクで拾って
アンプで増幅させることで、大きな音になるわけです。

ピックアップはこういった構造になっています。

ピックアップの構造

小学校の理科の授業でやったような(最近やるんかな?)
コイルです。

コイルに電流を流すと磁界が生じる。
逆に、磁界を乱すとコイルに電流が流れる。(電磁誘導)

ピックアップは後者です。

外から見える丸いボタンのようなものを「ポールピース」といいます。
ポールピース自体が磁石、またはその土台(青)に磁石があるタイプなどがあり
そこに電線(赤)が巻かれています。

弦はポールピースの真上を通っていますよね?
弦はスチール弦、すなわち金属です。

弦が振動すると、ポールピースの磁界が乱され電流が発生。
その電流でもって信号を伝え、アンプで増幅され、「音」となるわけです。

ピックアップの基本的な仕組み・構造がわかったところで
シングルコイル/ハムバッキングのそれぞれを見ていきます。

シングルコイルの特徴

シングルコイルというだけあって1本です。

サウンドの特徴は、高音が目立ち、煌びやかというかシャキっとした感じ。
出力はそれほど高くなく、ピッキングの微妙なニュアンスがのせやすいピックアップです。

ソフトに弾けばどこまでもソフトな音が、強めに弾けば「ギャリッ」と力強い音がしっかり出せます。
僕は断然、シングルコイル派です。

デメリットとしてはノイズがのりやすいということ。

これは電気的な意味で仕方のない部分です。
が、ノイズを軽減するエフェクターはいくらでもあるし
そもそも音を出しているときのノイズは気になりません。
実音よりデカいノイズはないので。

音を出していない、なおかつギターの金属部に触れていないと
「ジー」っというノイズがのりますが。

じゃ、触れておけばいいじゃんって話だからね(笑)

周波数は、だいたい2kHzくらいから持ち上がり4kHzくらいがピークのようです。
このへんは人間の耳に聞こえやすい領域なので、前述したように
高音が目立つ感じになります。

一般的に、ハムバッキングに比べて音が細いなんて言われますが
細いんじゃなくて、高音が目立つぶんそう聞こえるだけです。
音の芯はしっかりしているんですよ。

シングルコイルは、ドラゴ◯ボールで例えるなら
個性がキラリと光るピッコロさんです。

ハムバッキングの特徴

さてハムバッキングはというと、シングルコイル2本分ですね。
見た目が2本のやつと、こういったカバーがついてるやつとがありますが
中身はどちらも2本です。

ハムバッカー比較

ハムバッキングの特徴はなんといっても、パワーでしょう。
ブワッ!と出る感じ。圧のある感じ。
歪ませてデカいアンプで鳴らしたサウンドはたまりません。
シングルコイル2本分なので、出力は単純に2倍です。(音量が2倍ではない)

そしてシングルコイルに比べて、ノイズがあまり出ないというメリットもあります。

構造上、ハムバッキングはコイルが2本です。
2本なので出力が2倍なんですが、ノイズも2倍拾います(笑)

え?
じゃなんでシングルコイルよりノイズが出ないの?

それは、ノイズを打ち消し合っているからです。

音の波形のことを位相といいます。
この位相にはプラスとマイナスがあり、足し引きができます。

パターンA:同じ位相を足すと足したぶん、増える(1+1=2)
パターンB:半分の逆位相を足すと、元の半分になる(2-1=1)

位相のプラスパターンとマイナスパターン

ということは・・・?

パターンC:同じ大きさの逆位相を足せば「1-1」

でゼロになりますよね?

位相の打ち消しパターン

ハムバッキングはこれをやっています。
メインの波形は同位相を足して2倍
ノイズの波形は逆位相を足してゼロ

こういう仕組みなんですね〜。

シングルコイルに比べてハムバッキングはノイズを拾わない
という解説もみかけますが
正確には拾わないのではなく、2倍拾って2倍逆位相ぶつけて帳消し
という状態です。

これがハムバッキングへのよくある勘違い1つめ。

「ノイズがあまり出ない」と書きましたが、
あまり出ないということは、多少は出るということ。
ピックアップで帳消しにしたのに?

実は、ピックアップ以外のところでもノイズは拾ってしまうんですよね。
だから、全てのノイズを防ぐということはできません。

さて
パワーがある。
ノイズもあまり出ない。

メリットだらけのように思えますが、当然デメリットもあります。

それはパワーがありすぎるということ(笑)
ソフトに弾いてもある程度ブワッと出てしまいます。

つまりシングルコイルほどピッキングのニュアンスはのりません。
と言っても、“シングルコイルのときと同じように弾いたとしたら”の話です。

シングルコイル以上にニュアンスを意識した弾き方をしないと
誰が弾いても同じような音になってしまいます。

周波数は、だいたい1kHzくらいから持ち上がり2kHzくらいがピークのようです。
聞き取りやすい高音の領域がシングルコイルほど出ないので
聴感上、低音がすごく出ているように感じます。

多分、低音の周波数特性はそこまで変わらないはずなんですが。
人間の耳は相対的に音を感じるからね。

一般的に、シングルコイルに比べて音が太いなんて言われますが
太いんじゃなくて、高音が目立たないぶんそう聞こえるだけです。

これがハムバッキングへのよくある勘違い2つめです。

シングルコイルが芯の太さなら、ハムバッキングは輪郭とかシルエットの太さ
かな。

シングルコイルは骨格がしっかりしていて
ハムバッキングは筋肉がしっかりついている。

シングルコイルとハムバッキングの太さの違い

よーく聴いたらわかるけど
ハムバッキングってそんなに太くないんですよ。

シングルコイルは細い鉄の棒
ハムバッキングは太いフランスパン
って言ったほうがイメージしやすいかしら(笑)

中身の芯はどっちがあんねんっていう話。

それぞれの活かし方

では、シングルコイル/ハムバッキングはそれぞれどういう使い方をしたらよいか?

特徴に注目すれば、ある程度方向性が見えてきます。

シングルコイルは高音が目立ちシャキっとした音
ハムバッキングは低音が目立ちパワーのある音

これらを意識して使うと良いです。

シングルコイルはカッティングやニュアンス重視のアルペジオなど。
ハムバッキングはパワーコードなどでバッキング

はい、ここでバッキングに向いているから「ハムバッキング」か〜
と思ったそこのアナタ。

ゲンコツです(笑)

ハムバッキングは
ハム(hum=ノイズ)バッキング(bucking=抵抗する)

バッキング
backing=伴奏
という意味なので「バッキング」という字面が同じでも意味が違います。

シングルコイルが向いている用途
ハムバッキングが向いている用途
それぞれありますが、もちろんケースバイケースだし、最終的には好みの問題です。
正解はありません。

シングルコイル/ハムバッキングの特徴を理解したうえでの音作り
そしてピッキングも考えていきましょう。

シングルコイルに慣れている人はいつもの感じでピッキングすると
ハムバッキングを活かせません。
逆もまた然り。

シングルコイルを活かせるピッキング
ハムバッキングを活かせるピッキング
を意識して使いわけること
が大事です。

え?
どうやるかって?

レッスンでは教えています★

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