ギターの奏法:スライド 〜うまく滑らずに引っかかる理由〜

エレキでもアコギでも、ベースでも

スライドというテクニックがあります。

このスライドがうまくできずに悩んでいる人も多いでしょう。

スライドとは文字通り弦の上で指を横滑りさせるものですが
スライドがうまくいかない原因の多くが横滑りです。

は?
どういうことやねん?(笑)

早速、見ていきましょう。

スライドとは

スライドとは、弦の上で指を滑らせて
あるフレットとあるフレットの間の音を繋いで出すテクニックです。

これをやることで音が滑らかになり、フレーズがスムーズになります。

そしてスライドのやり方によってニュアンスが変わります。
ニュアンスについては後述します。

ドレミというフレーズを弾くとして

ド・レ・ミと弾くよりも
ド・レ〜ミと弾くほうがスムーズに聞こえるのがわかりますか?(〜部分がスライド)

レ〜ミの部分では
ピッキングするのは「レ」だけで「ミ」ではピッキングしません。

スライド箇所が多くなるほどスムーズになります。

ド・レ・ミ・レ・ドよりも
ド・レ〜ミ〜レ・ドのほうが滑らかです。

ゆっくりのテンポだとあまりわからないですが

一定以上のテンポになると、指をバラバラに動かすこと自体が困難になってくるので
スライドで対処したほうが良いということが出てきます。

もちろん個人差がありますが。

スライドの原理

例えば、6弦の3Fから5Fにスライドをするとしましょう。
このとき指は3F→5Fに横移動しているんですよ。

当たり前やん(笑)

スライドが苦手、という人のほとんどが横に動かすものと思っています。

思いこんでいます。

昔、「思いこんだら試練の道を〜」という歌詞のアニソンがね・・・

思いこみというのは
良い方向に作用する思い込みと悪い方向に作用する思い込みとがありますが、

スライドが横移動というのは、悪い方向の思い込みです。

確かに指板上では横に移動しているんですが
腕の動かし方としては横ではありません。

ギターやベースは、自分の身体の肩のラインに対して
完全に平行に構えることはありません。

この構え方をすると、右肘をかなり前に突き出す形になり
窮屈で弾けないからです。

よって、肩のラインに対して
ヘッドが左斜め前に出るように構えるほうが楽に弾けます。(右利きの場合)

ギターの構え方

左斜め前に出ているネックに対して横移動だと思いこみ
横方向の力を加えようとすると無理が生じます。

スライドとはあくまでも
ネックの方向と身体の向きを考えた腕の動きをさせるものです。

スライドの注意点

スライドの基本的な原理がわかったところで、注意点をいくつか見ていきましょう。

指の圧

一番重要なことが弦に加える指の圧です。

スライドは、フレットとフレットの間の音を繋いで出します。

繋ぐということは途切れてはいけないということです。
押さえっぱなしの状態。

ところが、この押さえっぱなしというのがクセもので・・・

押さえっぱなしを意識するあまり、指の圧が強くなりすぎる人がいます。

強く圧を加えると当然、滑りが悪くなり狙ったフレットに到達できません。
かといって弱めすぎるとフレットから弦が離れ音が途切れます。

滑りが悪くならないよう、音が途切れない必要最低限の圧に抑えたうえで
狙ったフレットまでの横方向の力も加えるという作業が必要です。

これが非常に難しい。

非常に効果的な圧の加え方のコツがあるんですが。
これは企業秘密。

レッスンではお伝えしています。
ヒントは「変化」です(笑)

腕を動かす方向

前述したとおり、腕を動かす方向は真横ではありません。

ネックの方向に沿うように
縦というか斜めというか。

結果としては横移動したように見えますよ?
指板上ではね。

でも意識の問題としては、やはり横ではないんです。

横だと思い込んでいると
身体の動きが微妙に変わってスムーズにいかなくなります。

目線

どこかに向かって身体を動かそうと思ったら

目的の方向を向いているほうがいいに決まっています。

ボクシングで
相手の顔を見ずにパンチを打つのと
しっかり相手の顔を見てパンチを打つのとでは

効き方が違うでしょう。
やったことないけど。

誰かボクシング経験のある方、教えてください(笑)

スライドの場合は、目的のフレットをしっかり見ておきます。

厳密には、目的のフレットあたりをぼんやり見ていて
あるポイントから集中するって感じなんだけど。

これもレッスンではちゃんと解説しています。

スライドの使いわけ・特徴

一口にスライドと言っても様々なパターンがあります。

最初に紹介する
「スタートとゴールが決まっているもの」のみをスライド

残りはグリッサンド
と表現することも多いです。

ピアノ木琴・鉄琴など、他の楽器でも幅広くグリッサンドという奏法はあるので
スライドという表現は、ギターやベース特有のものかもしれません。

スタートもゴールも決まっている

スタートゴールが決まっているスライドが一番わかりやすいでしょう。

6弦の3Fから5F
3弦の7Fから10Fなど
スタートとゴール、つまり最初に鳴らすフレット到達点のフレット
明確になっているということです。

こういう感じ。

3Fでピッキングして、そのまま5Fまで指を滑らせます。
当然、ピッキングは1回です。

フレット間の音をなめらかにするのと同時に
ニュアンスとしては、ややかっちりした印象になります。

動画は見やすいようにあえて中指だけで押さえていますが

どの指でスライドするかは、状況に応じて変わってきます

ゴールは決まっている

到達点のフレットは決まっている。

この場合、スタートのピッキング位置はどこでもOKです。

短くしたいなら近くのフレットから
長めに引っ張りたいなら遠くのフレットから。

7Fに到達させる場合
なんとなく5Fあたりから、でもいいし
なんとなく2Fあたりから、でもいいわけです。

とにかく到達点さえバシッと決まれば問題なし。

滑らせる速度でニュアンスが変わりますが
どちらにしても、ある程度の「鋭さ」とか「突っ込んだ感じ」を演出できます。

スタートは決まっている

ゴールだけが決まっているスライドとは逆に
スタートだけが決まっている場合。

スタートだけをしっかり鳴らして
あとは適当なところまで放り投げるイメージです。

最後の音までしっかり処理しないことで

ダレているように聞こえたり、上ずった感じに聞こえ
曖昧さ」や「ルーズさ」を演出できます。

スタートもゴールも決まっていない

もはや狙った音程を出すというよりは、効果音的なテクニックです。

歪ませたうえでこれをやるとギュンギュンいいます。(動画はそこまで歪ませてはいません)

エレキギター弾いているぜ!って感じですね。

楽曲のアレンジに対して何か効果があるのか?と言われれば
ほぼ無いでしょう。

かっこつけるときにやるものです(笑)

ここぞ、というときに入れればかっこいいんですが
やりすぎると鬱陶しく聞こえます。

最後に

スライドはあまり重要視されない傾向にあるんですが
大事な表現方法の一つです。

ニュアンスの付け方がうまい人は
スライドがうまいです。

もちろんスライド以外にもニュアンスをつける方法は沢山あります。

例えば、ギターテクニックの代表格に
チョーキングがありますよね。
なぜあなたはチョーキングができないか 〜チョーキングのコツ〜

チョーキングは難しそうに見えて難しいでしょ。
見た目がイカツくて、中身も怖い人みたいな。

スライドは簡単そうに見えて難しいんですよ。
一見、弱そうなのに実は格闘技経験者みたいな(笑)

甘くみていると痛い目にあいます。

スライドを極めて、表現に磨きをかけていきましょう。

レベルアップしたい方はお問い合わせください★

コメント