皆さんご存知のとおり?
僕は音楽講師です。
ギターを中心にベースやドラム、バンドレッスンなんかもやっています。
もちろんレッスンでは楽器演奏における技術や知識を提供していますが
技術の体系化は無理なんじゃないかと、ここ数年感じています(笑)
いや、笑い事じゃないけどね。
無理すぎて笑っちゃうよね。
知識の習得と技術の習得
やったことある人にしかわからないと思いますが
人に何かを本気で教えるというのは非常に難しいです。
「教える」ってことは、ただ伝えるだけじゃなくて
理解させるということです。
理解させる・できるようにさせる。
学校の先生は「教える」ことがあまりできていません。
だって理解していない生徒は沢山いるから。
教科書に書いてあることを「伝えて」いる場合がほとんどです。
先生を批判するつもりは無いですよ。
学校というシステムの限界、構造上の問題です。
理解力の違う生徒数十人を一気に相手するわけだから
全員が理解できるわけがありません。
その点、学習塾の先生なんかはまだマシでしょう。
学校より規模は小さいし、クラス分けなどで
ある程度生徒側の理解レベルが揃っています。
まぁ、どちらにしても共通して言えることは
知識の習得をさせるということです。
学校も学習塾も知識の習得を目的にしています。(部活動とかは除いて)
一方、僕のような音楽講師や
スポーツ、ダンス、絵画、陶芸、料理
などの講師の主な売りは技術です。
技術を習得させることが目的です。
技術習得の限界
知識の習得は言語で済みますが
技術の習得は言語に加えて身体の感覚が必要不可欠になってきます。
ここに問題というか、習得の限界があります。
だって身体の感覚なんて教えようがないからね(笑)
僕は常日頃、身体操作に意識をむけ
筋肉や骨、神経などの仕組みや作用を自分なりに勉強・研究しています。
それをどう自分の中に落とし込むか、つまり
どう言語化するかをアホみたいに毎日考えています。
言語化しないと人に伝えられないからです。
でもね、やっぱり全ては伝わらないんですよ。
そもそも「自分の身体の感覚を言語化する」
って時点で、いくらか要素が削がれているでしょ。
100%言語化するということは不可能です。
「歩行」ですら説明はできません。
どこの筋肉をどう動かして、どのタイミングで連動させて歩いています
などと完璧に答えられる人なんて世の中に存在しないんです。
単純な歩行ですら説明できんのに
楽器演奏なんて複雑なこと説明できるかー!
って話です(笑)
昔の人も苦労した
技術の習得が困難なのは、楽器演奏だけではありません。
能、文楽、歌舞伎、などのいわゆる伝統芸能や
その昔、主君のために暗躍した忍、など。
これらも「心得」などを記した指南書のようなものはありますが
技術習得の点では、師匠から弟子への「口伝」です。
手取り足取り。
口伝え。
言ってみせて、やってみせて、やらせてみせて。
これを繰り返して
どうにかモノにできた弟子だけが技を継承していくということ。
それくらい技術を伝えることは難しいんです。
昔の人も苦労したんだなぁ(笑)
どうするか
ちょっとシミュレーションしてみましょう。
長年の練習や経験で得た、僕自身の身体感覚を100だとして
言語化する際に、2割くらい削がれて
(もっと低いこともある)
それを生徒さんに言語で伝える際に
言語能力や解釈の違いでさらに2割くらい削がれて
それを生徒さん自身が身体感覚に落とし込む段階で
さらに2割くらい削がれて
って考えると、もう5割くらいしか伝わらんのです。
しかも多めに見積もって。
ではどうするか。
言語能力や解釈、また生徒さん自身が身体感覚に落とし込む
って点においてはこちらではどうしようもないので。
- 自身の身体感覚を可能な限り言語化する
- 言語化したものを可能な限り平易化する
ここを頑張るしかないわけですよ。
100を頑張って95くらいまで言語化して
ものすごく噛み砕いた言語で伝えれば
80くらい伝わって
それを生徒さん自身が身体感覚に落とし込んで65くらい。
それでも65かー
全然伝わらんな(笑)
最後に
もうわりきるしかないですね。
そもそも言語を介して伝えることに限界があるもの。
言語というのは便利なツールでもあり
厄介なツールでもあります。
こうなったら講師の感覚をダイレクトに生徒に伝える機器でも
使ってもらうしか方法は無さそうです。
なんか最近そんなの発明されたよね・・・
それを使って弾けるようになったとしたら
果たしてそれは生徒が弾けると言えるんだろうか(笑)
できるだけわかりやすく伝えられるよう
日々精進していきます★
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